主な首の病気

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頚部リンパ節炎、唾液腺炎、甲状腺腫瘍 など

頸部リンパ節炎

リンパ管は全身に張り巡らされており、その節々にはリンパ節があります。頸部にもたくさんのリンパ節があり、様々な細菌の侵入に備えています。頚部リンパ節炎は、この首にあるリンパ節が炎症を起こして腫れている状態です。主な原因は口や咽喉の細菌感染による炎症ですが、ウイルス感染や結核などによる場合もあります。細菌感染による炎症の場合は、まず口や咽喉などに痛みなどの初期症状が起こり、しばらくすると首に痛みのある腫瘤を感じるようになります。治療は、消炎鎮痛剤などを使用した対症療法が中心となります。痛みなどの症状が強いときは、ステロイド剤を使用します。細菌性の炎症の場合は、抗生剤も必要になります。

唾液腺炎

唾液腺炎は、唾液を作る器官に炎症が生じている状態です。様々な原因によって起こりますが、とくにウイルス感染や細菌感染によるものが多いと考えられています。ウイルス性の感染が原因で炎症を起こす代表的なものには、流行性耳下腺炎があります。この唾液腺炎を発症すると、唾液が本来もつとされる抗菌作用、粘膜保護作用、消化作用などの機能が低下します。そのため、唾液腺の腫れや痛み、唾液の減少、口腔内の乾燥、発熱、寒気といった症状が現れます。そのようなときは、唾液検査や超音波検査、頭部CT検査などで原因を特定したうえで、主に薬物療法を行います。細菌性のものであれば抗菌薬を用います。ウイルス性であれば、解熱薬を投与して安静に過ごします。

甲状腺腫瘍

甲状腺に発生する腫瘍の多くは良性ですが、1割程度は悪性です。このうち良性腫瘍は、腺腫、腺腫様甲状腺腫、のう胞の3種類に大別されます。腺腫は、甲状腺内にひとつだけしこりが発生している状態であり、薄膜に包まれています。腺腫様甲状腺腫は、2つ以上のしこりがみられ、甲状腺の腫れ以外の症状はみられません。のう胞は、しこりの中身が液状となっています。これを皮膚の上から触るとピンポン玉のような感触が伝わってきます。

悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、低分化がん、未分化がんなどがありますが、患者さまの多くは乳頭がんと呼ばれるタイプのがんです。分化がんの多くは病状の進行がゆっくりで、早期に発見できれば完治も可能です。ただし、未分化がんは悪性度が高く、しこりが急速に大きくなるなどし、周囲の臓器を圧迫することによる症状が強く出ます。

良性腫瘍の治療は、身体に悪影響が及ばない限りは速やかに治療が必要ということはありません。ただし、しこりが大きくなったことで日常生活に支障をきたしているときは、甲状腺ホルモン薬による薬物療法を行ったり、切除による手術療法を選択したりします。なお、悪性腫瘍の治療は、手術療法が基本となるので、当院と提携している専門医療機関をご紹介いたします。